【日南民商】税の源泉徴収 そもそもは戦費調達が目的
この時期、確定申告と同様に、頭を悩め、手をわずらわせるのが従業員などの年末調整事務です。
かつて、税務署に「代行手数料をくれ」と言ったことがありますが、源泉徴収制度には、それも当然と言わしめる歴史がありました。
この源泉徴収制度は、昭和15年、戦費調達のためにナチス下のドイツをまねて導入されました。源泉徴収義務者は国から徴税事務を委託された代行人と位置付けられ、納税者1人あたり当初10銭の「徴税代行手数料」の交付を受けることができました。その後20銭になり、最終的には50銭となっています。
戦後は、申告納税制度の導入に伴い、源泉徴収・年末調整制度として事業主に押し付けられました。
その結果、勤労市民最大の人口を誇る労働者が税金に接する機会が極端に少なくなりました。
日本の税制は、「申告納税制度」(自分の所得を自分で計算して納税額を決める)が基本です。欧米諸国は、ほとんどこの制度を採用しており、源泉徴収制度を導入しているアメリカでも年末調整は行わず、個人が確定申告を行っています。
源泉徴収・年末調整制度は、まさに国に代わって税の徴収を行うものであり、中小業者の事務負担、納税負担を増やすだけでなく、圧倒的多数の給与所得者の税への関心を削ぐ制度ともなっています。
納税が1日でも遅れると、有無を言わせず不納付加算税をとる税務署へ「代行手数料をよこせ」と要求したいものですね。